「それでね、あの向こうの青いジャージ着た黒髪の人がいるでしょ?あれがOBの川崎先輩っていうの。川崎先輩はね、このサッカー部のヒーローのような存在でね、昔は声も小さい、まとまりのない弱小サッカー部だったんだけど彼のおかげでこのサッカー部は弱小から最強に仰天チェンジ!それで、どうして強くなったかというとね・・・・」
ゆら・・・助けてください。
夏希の説明はほんの10分くらいで終わるかなって思ったんだけど、かれこれもうすでに15分は話し込んでいる。
しかも話の内容がどんどんディープな方向に行ってて、もう止まりそうにない。
だからさっきから私は夏希の説明が右耳から左耳へ流れっぱなしである。
「それでね、・・・って紬?」
「え?あ、ううん何?」
慌てて視線をグラウンドに戻した。
「それでね、彼の持ち味はやっぱり・・・・」
コッコッコッ。
後ろから聞きなれない靴の音がした。
多分、スパイクだ。サッカー部員だろう。
その靴の音は私たちの真後ろで止まった。

