いや、猫なら入って来たけど。

アーラなんか入って来てない。



「………ハッ!」



もしかして……さっきのかわいい黒猫ちゃん。

あの猫が、アーラだったって言うの?



そういえば、次咲くんの本にも書いてあったっけ。

悪魔は、自在に姿を変えられるんだって。



えぇぇぇ……嘘だぁ。

そんなことって有り?



「人間の女の部屋に入ったのは初めてだなぁ」

「私も……悪魔を部屋に入れたのは初めてです……」



悪魔を、って言うより男の子を入れたことすらなかったのに。

なんか……怖いし緊張もするし、頭がおかしくなりそう。



「……あれ?もしかしてビビってる?」



アーラはスッと立ち上がると、部屋の隅に立つ私の元へ歩み寄ってきた。



「はい……怖いです」



あぁぁ……お願いだから前に立たないで。

じろじろ見下さないで。

もう帰ってよぉぉ。