そもそも……何でいきなりあんなことを聞いてきたんだろう?

私が誰と付き合っているなんて、そんなことに垣内くんがなぜ興味を示したんだろう?



いや、待てよ……。

気になるのは私ではなくて、アーラが誰と付き合っているかってことだったりして。

もしそうだとしたら……?



去り際に見せた鋭い視線、怒りをあらわにする舌打ち。

なんだか嫌な予感がする。



「まっ……待って垣内くん!」



妙な胸騒ぎを覚えて、スリッパを放り投げると慌てて垣内くんの後を追いかけた。



「んだよテメェ!気安く触んじゃねぇよドブス!」

「はぁっ……!ごめんなさいっ!」



学ランの裾を掴む手を瞬時に離した。

とは言え、なんとか垣内くんを足止めすることに成功した。



「もしかしてっ……アーラに用があるの?」

「はぁ?アーラ?何言ってんだお前」

「あっ、違!黒羽くん!黒羽翼くんです!」



あぁぁあ、なにやってんのよ私の馬鹿!

焦らず……ここは冷静にならなきゃ。



「用も何もボコボコにしてやんだよ。アイツが俺の女に手を出したんだ」