恐怖で小刻みに震える手を差し出した。



「ひゃっ……」

「怖がらなくていい。ちょっとお前に、俺の力を与えてやるだけだ」



アーラはニヤリと怪しい笑みを零すと、その大きな手を私の手に重ねてきた。



悪魔の力を与える……?

それは一体、どういうこと?



何が起こるんだろうと見ていると、アーラの手の甲が淡く光始めた。

優しく儚いソレを眺めていると、すぐに光が消えた。



「今お前に与えたのは、何でも壊せる力だ」

「何でも……壊せる?」



本当に……この私にそんな力が?



見たところ何の変哲もない右手を眺めていると、

「そう、何でもだ。物はもちろんのこと……人間だって壊せるぞ?」

アーラから放たれた恐ろしい発言に、全身に鳥肌が立った。



物が壊れるのは分かる。

でも人間が壊れるって……?



それって言い換えると、死に至らしめることが出来るって意味だよね?