カウンターだったため思わず親父を見る。

目があったため、何年ぐらいやってるんですか?
と聞いてみる。

「うちはここでは開店したばっかりなんですがね、
県外で20年やってたんですよ」

「へぇ。
なんでまたここに?」

「ここが地元なんですよ。
親の面倒見るのに、来ないかっていったら、
住み慣れた土地は離れられないって言うもんで、
そしたらここが売りに出てたんで」

「そうだったんですか。
俺もこの辺に引っ越してきたばかりなんです」

「そうですか。
ご贔屓にしてください」

「勿論」

刺身も直接仕入れにいっているそうで、月曜と木曜は良いのが入らないらしい。
色々何曜日は肉の仕入れだから、馬刺もはいるとか聞きながら、
火曜日が一番良いのかもしれないと勝手に次の予定を決めていた。

「明日迎えに行くんだろ?
準備はできたのか?」

「掃除も全部した。
おでんも作ってきたし」

「何でおでんなんだよ!」

「昼も火は通すよ?」

「そうじゃなくてさ、もっとお帰りーって感じのだな」

「んー。
普通の食事でも中々入っていかないみたいなんだ。
食べれるようにはなったんだけど。
たまに箸じゃ無理なときも出てきて。

おでんなら、大根も柔らかいし良いかなと思ってさ」

「昼はどうする?
うちのに何か作らせようか?」

「いいよ。
たぶん何かしてたいんだと思うんだけど、
すっごい買い物させられた」