薬屋に生まれ、小さな頃から忙しい両親の代わりに下の姉妹の世話をしてきて、男子から「ガサツ」という称号しかいただいた事のない私にはとってトモコは、それこそ天使のうように見えた。


そんなトモコが好きになる男の子は、全員が不良っぽいのかいきがってるヤツだった。


ふんわりとしたトモコだから、不良っぽい、自分とは違う雰囲気の男の子を好きになる気持ちは分からないではないが、橋渡しを頼まれる私にはいい迷惑だった。


私はそういうタイプがキライなのだ。





ひとり憤慨しながら教室のトビラを開ける。


誰もいないと思っていた教室には人影が……。


(げっ! あいつかあ……どうしよう……他に待つ場所ないしなあ……でも、クラスメートだし、声とか掛けないとおかしいかなあ……)


私は意を決して呼びかけた。


「あれ? 藤田君? 何してんの?」