隣を見るとルーカスはまだ髪の毛をさわっており、何となくだが気の毒にと思ってしまった。

「なんでわかったんですか?」

「帰ってきてから帳簿を見てはいたんだが、少しずつおかしいところが出てきたんでな、調べはした。最初から謝ればまぁ、剥げることもなかったろうがな!」ハッハッハッハ!と笑う。
最近はこの笑い方にハマっているらしい。

「決定的だったのが最後の薬を売った後から帳簿も合わなくなってたってことだ。
掟は掟だ。私の物を取ろうとするものは幻界にいられなくなる。
魔界でも同じような掟はあるはずだが......いい加減手を頭からどけろ、ルーカス」

「あ、あぁ。魔界にもあるが、魔界では金はとらんが拷問はあるな」

「だから気にするな。もう帰って良いぞ」

「じゃぁ......」

「俺も行く。奏太ちょっと付き合え」

そう言ってそのままマンションを出ることになった。