白い扉を開けると、大きめのベッドに横たわった奏太がいた。
ベッドの下にはムーが伏せをしている。
扉が開いたのに気づいたのか、ものすごい勢いで走ってくる。

「ひめー!ルーカスさーん!」

「ユーリはどうした?」

「あのね、熱があるからこーり取ってくるって、でね、あのね…………」

「わかった……分かったから落ち着け!」そう言い、奏太に近づく。

見た感じ息が薄い。
顔はといえば老人の様に皺になっており、かなりの脱水が伺える。
幻界では人間界のように点滴や医療設備がない。

「私は一度人間界へ戻る。ムー、お前もついてこい」

「やだよ!僕、奏太君のそばにいる!」

「ダメだ。私やルーカスなら平気だが、お前まで奏太の様になってもいいのか?」

「どーゆーこと?」

「向こうでお前用の薬を調合する。それを飲めばこちらにいても大丈夫になる。本当はしたくなかったんだが……」

「僕飲むよ!」

「決まりだ。必要なものを持ってくる。ルーカス半日頼む、多分そのくらいで戻れる」