「お待たせ。
ほら、ミルクだ。飲めよ。」


ミルクを普通より倍薄めて猫に差し出すと、猫は匂いを嗅いでから飲み始めた。


「お前、ちゃんと自分で飲めるんだな。
えらいじゃん。」


スポイトがなかったからよかった。
粉ミルクは無乳糖のがちょうどあったからよかったけど。


「あとでちゃんと猫用のを買いに行ってやるからな。」


せっかくあの女が助けたこの命、俺が助けてやろうじゃん。
死んじゃうかもしれないのに、なんてもう言わせねーよ。


「…ん?もういらねーのか?」


飲み終えたのか、俺のところに来て、俺の足元で寝ようとしてるこいつ。

なんなんだ。可愛すぎか。


ま、子猫だしこんだけ飲めば十分か。


「快斗~!」


「あ、母さん早いじゃん。」


車の中から俺に向かって叫ぶ母さんのもとに、猫を抱えて向かった。


「へー、かわいい猫じゃん。」


「とりあえず病院連れてけよな。」


「はいはい、わかってますよ。
名前は?決めた?」


「いや、好きに決めといて。」


「わかった。
じゃあお父さんには私からもう言ってあるから。
あんたも早く校舎に入りなさいよ?」


「わかってるよ。」


「じゃ、そのミルクも引き取るよ。
お母さん行くから。」


「おう、頼んだ。」


さてと、猫はこれでいいし…学校行くか。