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「快斗、ダラダラ歩くな。」


「はいはい。」


ったく、なんで歩きなんだよ…
入学式くらい、車出せよな。


「つーかまだ早いだろ、どう考えても。
まだ誰もいねーじゃん。」


「遅刻するよりましだ。」


そういって俺を早く歩かせるのは俺の父さん。
都議会議員をしてる父さんは、私立高校だっつーのに来賓として呼ばれ
来賓なのにくそ早く俺と一緒に入学式へと向かっていた。


「とにかく、俺の顔に泥を塗るようなことはするなよ。」


「またそれかよ、うるせーな。」


「だいたい、入学式なのになんだその髪の毛は。」


「別にいいだろ。自由なんだから。
テメーは黙って座ってろよ。」


「親に向かってなんだ、その言い方は。」


なら俺と一緒に来んなよ。
こうなることくらい、わかってたんじゃねーのかよ。


「……はいはい、すみませんね。」


ったく、めんどくせーな。


「まあいい。
それより今日で快斗も16歳、約束してた教習所の申し込みしといたから。
ちゃんと通えよ。」


「え、まじで!?
さっすが親父!」


「約束したからな。
秀明に首席で入学したらバイクを許可するって。」


ま、なにかと口うるせー親父だけどこういう約束はきっちり守るし
悪いとこばっかでもねーんだけど。


「秀明に首席なんて、俺の鼻も高いしな。」


「ま、やればできる子なんで。」