それからはご飯をいただいて、30分ほど黒崎蓮の隣で英語を教えてもらっていた。
「近い。」
いちいち大津くんがそんなことを言うけど、勉強をしているのだからいちいち気にしてはいられない。
「あー、だいたいこんなもんじゃね?
つーか秀名の学力と塾の学力あってなくね?
明らか塾のが低学力じゃん。
なんでそんなとこ通ってんの?」
一通り教わったところで、黒崎蓮はテキストをペラペラとめくりながら、そんなことを言った。
「……お母さんが昔お世話になった人が先生をしてるから。
お母さんの絶対的信頼があるんだと思います。」
「でもこれじゃあ身に付かないだろ。」
「別にいいんです。お母さんが満足なら。」
あとは自分で何とかする。
お母さんはきっとあの塾じゃなきゃ満足しないから。
「蓮、終わったならどいてー。
俺が桜子ちゃんの隣座るから。」
「はいはい。」
そういって黒崎蓮が退くと、大津くんが私の横へ座った。
「つーか陰気女。
俺に席を譲れよ。」
足を組んで、かっこつけて言ってるのはパイプ椅子に座る桐谷隼斗。
それがまた笑えて、私はまた笑ってしまった。
「くっそ腹立つやつ…!
あー!もう俺走ってくるわ!!」
「へー、走るんだ。」
「桜子ちゃん、走るってバイクでって意味で、本当に走るわけじゃないからね?」
「え?
………あなた、免許あるの?」
「あるわけねーだろ。
バカじゃねーの?」
「じゃあバイク乗っちゃいけないってわかってるでしょ」
「そんなの守んねーのが暴走族なんだよ!
部外者がいちいち俺らのやり方に口出ししてくんじゃねーよ!
だいたい、それで轢かれるやつがいたらそいつが相当まぬけなんだよ!」
………な、に…こいつ………。