そしてどんどん奥へ進み
「ここの部屋。」
ついたのは"社長室"と書かれたドアの前。
「……本当に会社だったんだね。」
「昔ね。」
そういって大津くんはドアを開けた。
「くっさ…」
ドアを開けたと共に匂うタバコの匂い。
換気くらいしろよ、これ。
風が気持ちいい季節じゃないか。
「快斗おっそー。」
そして白く濁った部屋から聞いたことのない男の声が聞こえた。
「悪い悪い。今日はお客さん連れてきたから。」
そう答えた大津くんの声のトーンは初めて聞いた、落ち着いたトーンだった。
秀名では聞いたことのない、力の抜けた声。
「またそのダサい女かよ。」
……なんだと?
どいつだ、そんな失礼なことを言うやつは。
そりゃダサいかもしれないけど。
制服というものはきっちり着るものなんだよ。
「れーん。
そういうことは言わない。
ね、入って入って。」
そういって大津くんは私をこの臭い部屋へといれ、ドアを閉めた。
「……高校生?」
タバコの匂いが充満した部屋の中にいたのは、名堂学園の制服を着た男子4人だった。