「こーこ。」


歩くこと15分、ついたのは丘の梺の人気のない、廃れた工場だった。


「……なにここ。」


「不法侵入とかじゃないから。きて。」


大津くんが柵の中へと入っていくから、私もそれについて行った。
広い駐車スペースを過ぎ、工場の中へと入ると


「えっ…」


中には、不良がたくさんいた。


「………帰る。」


「えぇ!なんで!大丈夫だよ!」


……いや、どう見ても大丈夫じゃない。
しかも大津快斗の言う大丈夫は決して信じられない。

私はここでいったい何をされるの?


逃げた方がいいんじゃないか…?


「絶対、天宮さんが喜ぶものがあるから。
ね?信じて。」


「……本当に?」


「うん。」


……今まで、こいつが私に嘘をついたことはない。
信じて、みるか……


「……わかった。」


「ん、よかった。
じゃあこっちね。」


大津くんは私が逃げないようになのか、安心させるためなのかわからないけど、私の手を握り、奥へ歩いていった。

不良軍団の真ん中を、堂々と。


「……ねぇ、聞いていい?」


「なに?」


「みんな免許持ってるの?」


ここにはたくさんのバイクが止まっている。
ここにいる人は20歳くらいの人もいるけど、中学生くらいに見える人もいる。
それなのに、人数に負けないくらい、バイクが停まっている。


「まさか。」


「えっ…じゃあ無免許ってこと?」


「うん、そうだよ。
半分くらいは無免かな。」


……信じられない。
そんな基本的なルールすら守れないの…?