「…聞いたよ。神経切断したって。
普通に歩けないって。
ごめんね、私のせいで…」
「……別に「って、私が責任感じてつぶれそうになってるとでも思ったの?」
「……は?」
「そりゃ私のせいでしょうね。
私を庇って怪我してこんな風になっちゃったんだもん。
責任感じて当たり前じゃん。
……でも、たとえそれが私のせいじゃなくたって、私は快斗を支えたいって思うよ。
たとえこれが、他の不良と喧嘩したとか、階段から落ちたとか、そんなくだらない理由だったとしても、私は全力で支える。
だってそれが彼女ってものでしょう?
快斗が言ったんだよ。
二人で一つになったっていいんだって。
崩れ落ちそうなら支えるからって。
二本の足で歩けなくたってさ、私も支えればちゃんと歩けたじゃん。
なんで一人で頑張ろうとするの。
知ってるんだからね。本当はまだ私のこと好きだって。
どうして私を突き放してまで一人で頑張るの。
どうして、私はそばにいちゃいけなかったの…」
ずっと、本音を隠して生きてきた。
本音をぶつけることから逃げてきた。
でも…こうやって本音をぶつけることができるようになったのも、快斗がいたから、だね。
「…もし俺が一生まともに歩けなかったら、桜子ちゃんは責任感じて俺から離れねーんじゃねーの。
俺への感情とか関係なく、責任感で俺といられるのが嫌だったんだよ。
俺…このままだとバイクだって乗れるかわかんねーし…俺がバイク好きなの、桜子ちゃんは知ってるから余計に責任感じるんじゃないかと思って…
もう、これ以上邪魔はできないと思ったから」
「邪魔なんて、一度も思ったことないよ。」
「……塾は、なんで休んでんの。
俺が入院してるからじゃないの?
確かに桜子ちゃんの学力にはあってなかったよ、あの塾。
でも…ずっと通ってたのになんで…」
「……そりゃきっかけは快斗かもしれないけど…でも、それだけじゃないよ。
塾に行く時間あったら快斗たちに教わってた方が身になるから。
それだけのことだよ。
むしろ快斗がいてくれなきゃ、私はどうやって勉強していけばいいの?
このカーディガンだって、快斗が一緒に着てくれなきゃ私一人で恥ずかしいんだよ。
……快斗には、そばにいてほしいんだよ。私が」
快斗のため、なんかじゃないよ。
私がそばにいたいだけなんだよ。
「……桜子ちゃんらしくないね。」
「好きだという気持ちに素直になりたいだけです。」
もう、後悔ばかりの人生なんて送りたくないから。