「……ねぇ、俺動けないからさ
桜子ちゃんがこっち来てよ。」


「え?」


こっち…とは…?


「こーこ。」


そうやって快斗がベッドをポンポンとしたから、仕方なくベッドに腰かけた。


「ねー、俺桜子ちゃん守ったじゃん?」


「うん。ありがとね。」


「だからご褒美に桜子ちゃんからキスして。」


「えっ…私から…?」


「ん!」


快斗はそういって目を閉じて口をこちらにつき出してるけど…

……私からするの?キスを?私から?


「早くしないと暁斗が戻ってくるよー。
俺、命の恩人なんでしょー?」


「わ、わかったよ…」


こんなんじゃお礼にはならないけど…もう、やってやるわ!
私だって子供じゃないんだから!!


と、私を目を閉じて快斗に近づき、もう少し…というところで


「おっすー!」


元気なオチケンさんの声が聞こえて、咄嗟に離れようとした、けど…


「ちょ、」


快斗の手がそれを許しはしなかった。


「あー、邪魔した?」


「ちょー邪魔。」


「ってかけっこう元気じゃん。」


がっつりキスしてるところを見られ…私はみんなの方を見ることができない…


「下に暁斗いたわ。」


そんな私なんか、全く興味がないかのように黒崎くんの声まで聞こえてきて…

あー、そうか。慣れてるのか…なんて一人、納得をしていた。
なんてったってこの人、女好きだったみたいだし。


「一緒に来りゃよかったのに。」


「俺らの飲み物も頼んどいた。」


「あれ俺の金なんだけど~。」


「あー、だからか。
ずいぶん気前いいなと思ったわ。」