「…だから、私には塾は必要ない。
もっといい先生たちに、出会えたから。」


ちゃんと聞いてて。
ちゃんと伝えるから。

ここにいるのは、私だから。

この目を見つめて私を呼んで。
私はお兄ちゃんじゃない。

だから…私をもう、解放して。
私はそんなところには行きたくないんだ。

私の行きたいところに、行かせてよ。


どうか、気づいて

私はあなたに愛されたいだけなんだ。


「……次のテストの結果を見て決めます。
それまで、休む連絡をしておくから。」


「……え、いいの…?」


「学年10位以上。それが最低ライン。
いい?」


「う、うん。
……ありがとう、お母さん。」


「今日はどうするの。
もうすぐ面会時間も終わりのはずよ?」


「今日はこちらで預からせていただけませんか?
きっと桜子さんの精神状態が不安定だと思いますので。」


「おじさん…」


「……わかりました。よろしくお願いします。」


お母さんは快斗のお父さんに頭を下げて、帰っていった。


「あの…ありがとうございました。」


「とんでもない。
……ただ、あんな寂しそうな顔、もうしてほしくなかったから。」


「あの、快斗は…」


「あぁ、また寝たよ。
薬も未だ効いてるだろうし、寝てた方が痛みを感じないしね?
でもまた痛みで起きるんじゃないかな。
快斗はこういうの初めてじゃないから、本人もきっとわかってるよ。」


「え…初めてじゃないって…」


前にもこういうことが…?


「ほんっと無茶する子供だからね。
そこにいる、みんなも。」


「え、え?
じゃあみんなも…」


「最近だと隼斗だな。
無茶な喧嘩して全治三ヶ月。」


ぜ、全治三ヶ月って…
いったいどんな喧嘩したの…


「は!?蓮なんて一人で階段落ちて肋骨折ってたじゃねーか!」


…階段から落ちて、肋骨…
い、いや…それはただのドジじゃ…


「ま、そういうわけだから俺らはこういうの、日常茶飯事。
だから桜子もそんな気にしなくていいんだよ。」


…なんて、ゆっきーさんは優しく微笑んでるけどさ…

あなたもあるんですよね?絶対。