涼介が降りていったあと、私は木陰で座って休んでいた。

毎日毎日勉強をしていたから、こうやって休息するのが久しぶりで、気持ちよくて

本当に寝てしまいそうだった。


「さ……天宮、さん」


うとうととしていたとき、すごくぎこちなく私を呼ぶ声がして、後ろを振り返ると
そこには大津くんが立っていた。


「なんですか?」


「……隣、座っていい?」


「イヤです。
用があるならさっさと言ってください。」


私がそういうと大津くんはなにも言わないから、私はまた前を向いて景色を楽しんでいた。


「……さっきの、誰?」


長い沈黙のあと、大津くんから出てきた言葉はそれだった。


「1年5組永井涼介。」


「いや、そうじゃなくて
……仲、良いの?」


「幼馴染みです。家が隣です。
涼介のことが知りたいなら涼介に聞いた方が早いです。」


「好き?」


「日本語は主語と述語を使うと相手に伝わりやすくなります。
動詞、形容詞単体での使用はおすすめしません。」


「だから、永井涼介ってやつのこと好きなの?」


「好きです。
それがなにか?」


私がそう聞いても大津くんからはなんの返事も返ってこなかった。


「……あ、でも
前に大津くんがいってた、男が聞いた"好き"の意味がLOVEっていう公式をもとにするならば、好きではないです。

その言い方をするなら、Like…ですかね。」


「え、じゃあ恋仲じゃないってこと?」


「はい。」


「なんだー、びっくりしたー。
よかった!ほんと!」


……うるさいなぁ、ほんと…