それからは涼介と普通に会話をしながら、お弁当を食べた。

幼馴染みというのはやりにくさもあるけど、やっぱり楽な面は多いから。
たとえ涼介の彼女にみられたとしても、私の見た目がこんなだからかなにも言われたりはしない。

爽やか系イケメンの涼介が、私なんか恋愛対象でみていないと言うことをちゃんとわかっている気がする。


涼介も涼介なら彼女も彼女で、本当やりやすい。


「あれ、天宮さん…?」


「……あ、早坂さん。どうも。」


いつの間にか、後ろに早坂さんと大津くんが二人で立っていた。


「桜子、友達?」


「え?んー…クラスメイト。」


「ふーん?」


まぁ、確かにこんなギャルっていうか…派手な子、私の友達だったら涼介もビックリだよね。
さすがに友達ではないけど。


「涼介行こ。
それじゃ私はこれで。失礼します。」


お弁当も食べ終えた私は、涼介を連れてその場を去った。
二人の邪魔になったら困るし。


「あの二人って付き合ってんの?」


「知らないよ。
でもキスしてたし、そうなんじゃないの?」


「でも付き合ってなくてもキスするやついるじゃん。
俺と桜子もそうだったし。」


「子供の頃のキスはカウントされません。」


「えーでも一応ファーストキスじゃん?」


「……そうだとしても
あれは気持ちがあったとかでもないんだから。」


小3の頃、学校のお楽しみ会でうちのクラスは眠れる森の美女の劇をした。

子供の頃からずっと一緒だった私と涼介は周りも認める恋仲ではあった。
子供の頃だから交際してるわけでもなく、幼稚園児時代の延長戦のように。
だから劇で私がお姫様、涼介は王子さまを演じた。

その時の目覚めるシーンのキスが私たちのファーストキスだ。


でも、サッカー部に入り、身長も伸びた涼介はどんどんモテていって彼女もできた。

対照的に私はどんどん地味になっていったから、私たちは自然に距離ができていったんだ。


「俺はあの頃桜子のこと好きだったのにな~」


「だから何年前の話してんの。
さっさとみんなのところ戻りなさい。」


「桜子は?どうすんの?」


「ここで寝てよっかな。暇だし。」


「寝過ぎるなよー。」


……わかってるわ。