「じゃあ俺花火とってくるし先いってて!
俺もすぐいくしー。」


「はいはーい。ダッシュで来いよー。」


もはや全くオチケンさんの方は見てない黒崎くんはそういって止まることもなく丘の方へと歩き出していた。


……丘?山?どっちでもいいや。
山にしては低いけど。


「快斗は明日何時から教習所なの?」


「明日は6時から一時間しかとれなかった~。
だから放課後少し一緒にいようね!」


「うん、そうだね。」


私も明日から塾か。
一週間も休みで…なんか、ちょっと塾がめんどくさいや。
かといってサボったりもできないけど。


「ねぇ、桜子ちゃん。」


「ん?なに?」


「入学したばっかの頃さ、友達はいらないんじゃなくて、必要ないって言ったじゃん?
あれってどういう意味?」


「あー…

まぁ強がりっていうかさ…本当は欲しかったの、友達。
快斗は人付き合いがうまくて友達が多くてさ…
快斗がどれだけずるくて、卑怯で、嘘つきかも見てきた。
暁斗くんにはそうでもないかもだけど、他の人は適当にあしらって、別に楽しくもないけどとりあえず笑っとこう、みたいな感じでしょ。」


「……ほんと、痛いとこつくよね…
相変わらずグサグサくるよ…」


「そんなやつに友達がたくさんできて、どうして私にはできない?って思ったことが一度だけあったの。

その時ね、あぁでも私には必要ないか、って。
どうせ勉強しかしないのに、友達なんか私には必要ないじゃん
…って思うようになったの。

だから、いらないんじゃなくて必要ない。」


本当に尖ってたよね、私も…


「……じゃあ、どうして早坂とか暁斗とは友達になったの?」


「莉奈ってね、私があんなに地味でもまともに扱ってくれたの。
…前、私が地味になって離れていった友達はたくさんいた。
なのに莉奈は私が地味でも、私と普通に話してくれたの。
それに、莉奈は私の見た目で仲良くしようって思ったわけじゃないみたいだから。」


私は悪口は言わない。もう、誰のことも傷つけたくない。
……そういうところを、私がなにも言わなくても莉奈はわかってくれた気がした。

こんな見た目でもね。


「ふーん?
じゃあ暁斗は?」


「暁斗くんは快斗の友達だから。
誰にでも適当な快斗がさ、この人たちと暁斗くんには普通に接するでしょ。

だからどんな人なのか知りたくて。
そしたら実はすごくまともな人なんだなって思って。
短期間でわかった気がする。ちょっと子供っぽいところとかね。」


「へー、そっか。」


結局、私は寂しかっただけな気がするんだけどね。
快斗と仲良くなったら、独りでいるのがすごく寂しくなったんだ。