「……私もね、さくらを助けたのが快斗だって知ったとき、
この人はこんな小さな命を救える優しい心を持った人なんだなって思ったの。
私にとって、不良や暴走族なんて奪うことしかできないと思ってたから。だから…

あのときは本当に快斗を見直したの。」


ペットを飼ってるから優しいイメージがついた、とかじゃない。
あんなに小さく震えていたさくらを救おうと思った心に、私の心は射たれたんだ。


「だってあん時、"よく見殺しにできるよな"みたいな言い方されてさ、ムカつくじゃん。
……まぁ、確かに最初は見殺しにしようとしてたかもだけど…
さくらの生きようとする気持ちが伝わってきた気がしたんだよね。
あんな小さいのにミルクも自分で舐めて飲んだしさ。
寒いのか必死に俺にすり寄ってきて、俺の体温で生きようとしてんの。

それ見ちゃうと、もう見殺しになんかできないじゃん?」


「だからやっぱり快斗は優しいんだよ。」


そんな人だから、私も快斗を好きになったんだ。


「桜子ちゃんもね。」


快斗はそういって、私の頭の後ろに手を回し、ベッドに座ったまま
私にキスをした。


「……はぁー、超好き。」


「…ありがと。」


快斗は離れて私の頭から手を離すと、後ろにポスっと倒れた。

……から、私も後ろに倒れてみた。……ら、
快斗は私の方に体を向けて、また私に近づいてきた。

快斗のキスは優しくて気持ちよくて、大好きだから
私はまた目を閉じた、のだけれど……


「にゃ。」


私の顔と快斗の顔の少しの間に、さくらが入ってきた。


「……ふふ。」


「コラ、さくら!邪魔すんな!」


そういって体を起こしてさくらを抱き上げる快斗を見て、もう笑わずにはいられなかった。