━━翌、月曜日

季節は今日から5月。
今日から暖かくなるということでブレザーはやめようと思ったのだけれど……


「…これじゃ暑いよな…」


学校指定のセーターは分厚くてこれは絶対に冬用。
先週ではすでに指定じゃない、市販の薄いカーディガンを着てる人もいたけど

当然のことながら私はそんなものは持っていない。


……帰り暑くなりそうだけど…いいか、ブレザーでも。


「…行ってきます。」


「あ、桜子。」


「なに?」


「今日まで塾休みだけど、今日は勉強どうするの?」


「今日も外でしてきます。22時頃には帰宅予定です。」


「そう。来週末には定期テストも控えてるんだからしっかりね。
はいこれ。今月のおこづかい。」


「…えっ…、こんなに?」


手渡されたのは三万円。
高校一年生の私にとっては大金だった。


「外で勉強することが増えるとお金もかかるでしょう?」


……そっか、最近塾のテストの点がいいから、か…


「…ありがとう。
じゃあ行ってきます。」


……なんか、やっぱり快斗たちに教わるようになってからずっとお母さんの機嫌がいい。
テストの点が上がって、見た目も変わったから、かな…


「おはよー!桜子ちゃん!」


「あ、快斗…おはよう。
待っててくれたの?」


家を出てすぐ曲がったいつものところに、快斗はまた立っていた。


「これから毎日待ってるし!」


「そっか、ありがとう。」


「ん!行こ!」


元気よく差し出された手。
私はその手を優しく握って、快斗と一緒に歩き出した。