「あれ、快斗一緒に座ってくれるんじゃ…」
…………ほら、来たよ。早坂さん。
「あー、ごめん。
俺ちょっと桜子ちゃんと話あるんだ。
帰りは一緒に座ろ。」
「ふーん、そっか。
わかったよ。」
「あ、早坂さん!」
「ん?なに?天宮さん。」
「あの…なんかごめんなさい。
私が変わるって言ったのに…」
「あぁ、ううん。平気だよ。」
早坂さんはそういって微笑んで、前の席へと戻っていった。
「…………あのさ、あなたって女好きなんだね。」
「え?」
「早坂さんのこと好きなら別にいいけど、違うなら思わせ振りな態度するの、やめたら?」
私はそれだけ言って、耳にイヤホンをつけた。
話しかけるのとか本当に嫌になってきた。
誰にでも愛想よくするこいつが、中途半端でむかつく。
「わ、ちょ…」
だけどそのイヤホンはすぐに取られた。
「俺がいんのにイヤホンなんてつけないでよ。」
「…………は?」
「なに聴いてんの?
…………って、まさかの英会話。」
「勝手に聴かないで。
返して。」
「やだ。こっちは俺が聴くし。
俺と話したくないんでしょ?
俺もこれ聴いてたら話しかけないし。」
「…………わかりました。」
それなら、早坂さんと一緒に座ればいいのに。
なんでいちいちこっちくるのかな。


