暴走族に恋をする。




「……手慣れたもんだね?」


お金を入れて出てくる設定に、私は迷うことなく、快斗に聞くこともなく、さっさとボタンを押していった。


「こういうのはどの機種でも大差ないから。
はい、もう撮影始まるよ。」


と、撮影前の数秒で私も髪の毛を整えて、快斗を屈ませた。


「はい、ここね。」


……慣れってすごい。
3年のブランクがあっても、私は自分が可愛く写る顔と角度をちゃんと覚えてる。

流行のポーズとかはわかんないけど…


"はい、チーズ"


機械から出る声と、すぐあとのシャッター音。
それさえも懐かしい。


「…かわいい!!」


「もう次が始まるからそんなこと言ってる暇ないよ。」


……っていうか、快斗もだいぶイケメン。
いや、もともとイケメンだけどさ?

不良って言うより…普通の今時の男の子だ、これは。

目のクリクリ具合がさくらみたい。かわいい。









「やばい!全部かわいい!!」


で、撮り終えたプリクラを見て、快斗はいつにも増してうるさい。


「実物も可愛いけど!」


……あんまり自分の彼女を可愛いって連呼する人、いないと思うけどね…


「私は慣れてるから。
快斗は初めてなのにこの仕上がりなら慣れたらすごいかっこよく写ると思うけど。」


……にしても、本当に恐ろしい。
昔のプリクラも十分すごかったけど…今のプリクラの技術って怖い。

3年前に比べて脚伸びすぎじゃない?
細すぎて…長すぎて…実際の脚を見るのが嫌になるよ、これ。