「……遠足の日にさ、快斗が私に社交性がないとダメだって言ったじゃない?
それ、お母さんにもずっと言われてたの。
勉強も人付き合いもうまくやりなさい、って。

だけど、私にはその両方をうまくやることができなかった。
だから勉強だけにしたの。
遊びをとったらお兄ちゃんがあんなことになったから…」


「……そっか。そうだったんだ。
ごめんね、あのときあんなこといって。」


「でもね、快斗と仲良くするようになってから、勉強もできて、黒崎くんたちに遊びも教わって……
快斗のおかげでなんかお母さんの機嫌もずっといいんだよね。
だから、快斗とだったら両立もできる気がするんだ。」


「なにそれ。
……嬉しすぎなんだけど。」


「だから、土曜日は遊びも教えてね。」


「でも俺、今まで休みの日はケンカとかカツアゲとか、くだらねーことしかしてこなかったんだよねー。」


……ケンカとカツアゲって…


「でも、女の子と遊んだりもしたでしょ?
その時はどうしてたの?」


「エッチして終わり。」


……なんか、やっぱり大丈夫か?
こんなやつと付き合ってて…


「あ、幻滅したでしょ。
でもねー、そういう俺はもう捨てたから!
捨ててなきゃ桜子ちゃんにこんなこといえないもんね。」


「まぁ…変わったならいいけどさ…」


まさか私もこんな男を好きになるなんて思わなかったよ…
絶対関わらないタイプの男だもん……


「あ、快斗!」


「おう、おっはー。」


「天宮さんもおはよう!」


「…おはようございます、日比野くん。」


クラスメイトで快斗の友達の日比野くんが、はじめて私に話しかけてきた。

そもそも、私の名前を知っていたことに驚く。


茶髪にピアス、ゆるゆるなネクタイ。

明らかに私みたいな地味な女は嫌いなタイプの男子なのに。