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「ごちそうさまでした。

とっても美味しかったです。」


「えー、お世辞はいいよ。」


「お世辞じゃないよ。
それに快斗もごちそうさま言いなよ。」


「いやー、本当に良くできた子だな。
そんな子が快斗の彼女だなんて信じられないよ。」


「ほんとよねー、なんでこんないい子が快斗の彼女なのか…」


「るせぇな。俺の実力だっつーの。」


……ほんと、仲いいんだな。
家族で食卓を囲んでこんな風にご飯を食べたの、何年ぶりだろ…

私だけ家族じゃないけど、それでもこんなに美味しく感じたご飯はいつぶりだろうな…


「桜子ちゃん、そろそろ行こ。」


「え、でもまだ片付けが…」


「いいのよ、そのままで。
あとはやっとくから。」


「それに人様のお嬢さんを遅くまで連れ出してるわけにもいかないから。

快斗、ちゃんと送ってけよ。」


「言われなくても。
行こ。」


「…じゃあ、お言葉に甘えて失礼します。
ごちそうさまでした。本当に美味しかったです。

お邪魔しました。」


ご両親に挨拶をして、私は快斗に手を引かれてダイニングを出た。


「そんなに丁寧にしなくてもいいのに。」


「そんなわけにはいかないよ。
快斗のご両親だし、お邪魔してる立場だもん。
一般的な礼儀は必要だよ。」


「ま、でも親父まで大歓迎な感じだったしよかったわ。
親父、自分は駆け落ちで結婚してるくせに女関係は本当にうるせーから。
兄貴もそれで親父と揉めたことあるしなー。」


「うちのお母さんもそうだよ。
超学歴重視だからね。
高学歴、高所得、家柄とかすごくうるさいもん。

でも、快斗なら全部クリアだね。」


「暴走族でも?」


「あー、それが一番ダメだったね。」


「いつか俺も桜子ちゃんのお母さんと飯、食えたらいいけどなー。」


「……そうだね。」


私も、そんな日が来ることを心から願ってるよ。