暴走族に恋をする。




「ん、この部屋だよ。」


この建物の一番奥、廊下の端のドアを快斗はゆっくりとあけ、さくらは走って中へ入った。


「………え、部屋?」


「ま、正確には勉強部屋だけどね。」


開いたドアの中には柔らかなピンク色をした、さくらのベッドと
シンプルな木の机、そして本が敷き詰まった本棚しかなかった。


「じゃあ、部屋はもうひとつあるの?」


「うん。ここは勉強部屋だしね。
誘惑の物は一切置かないのが俺の主義だけど、さくらが邪魔してくるからさくらのベッドだけは置いたの。

ちなみに、ここに誰かをいれたの初めてだよ。
親もここには入らないんだよ。掃除も自分でやるし。」


「さくら入ってるじゃん。」


「人間での話だよ!
それ言い出したら蚊とかも入ってきてるから!」


「はは、そっか。」


「いや、もっと感動して。」


…すご。難しそうな本ばっかり。こんなのを読むの?快斗が?
全く想像できないんだけど。


机の上には筆記用具だけ。
無駄なものは本当に置かない主義なんだな。


「いつ勉強してるの?」


「俺は朝。俺めっちゃ起きんの早いんだよね。
さくらが来てからはさらに早くなったしね。

朝起きて、飯食ってから体力作りのために走って、帰って来て勉強。
一番目が冴えてるんだよね。朝は数学は向いてるしね。」


「え、そうなの?」


「うん。一番頭が働くから。
夜は英語とか歴史とか暗記系。
ま、最近は教習所の勉強ばっかりしてるけどね。」


………こんなに見た目バカっぽいのに、ちゃんとしてるんだなぁ…
朝勉強するなんて私にはそんな時間いつもないよ…


「連休明けたらテストだし、桜子ちゃんに負けないように頑張らないと~。」


「快斗に勝てるわけないじゃん。」


「じゃあ勝負ね。
俺が勝ったら桜子ちゃん家に行く。」


「え!?」


「決定~。」


「いやいやいや、お母さん夕方に帰ってくるよ?」


「うん、いいじゃん。
だめなの?秀名首席入学の彼氏じゃ不満?」


「………まぁ、それ言われたら確かにそうでもないかもだけど…」


でも、この見た目じゃ絶対に信じないと思うけどね…