「よし、行こ。
さくらも行くよ。」
そういって、快斗は私の手を握った。
………けど
「私には触れないんじゃなかった?」
なんて意地悪を言ってみる。
「………わかったよ!桜子ちゃんのバカ!!」
快斗の反応が子供みたいで可愛くて、離された手を私から握り返した。
「…ん、行こ。」
そういって快斗の顔を覗きこめば、快斗は真顔で私の顔を見たから、私も自然と真顔に戻った。
「………限界。」
そういって、私の顎を持ち上げ、唇を落とした。
「これくらいならいい?」
「………うん。」
きっと、私の顔はまた赤い。
普段は無邪気な子供みたいな快斗も、たまに見せる大人の表情がかっこよくて、ドキッとする。
きっと、私にしか見せない表情だから。
「桜子ちゃん、最近一気に変わったよね。」
「どういう風に?」
「人間らしくなった。怒るし、笑うし、照れるし。
っていうか、俺のこと好きになってくれた時点で大きな変化だよ。」
「………私も羨ましかったんだよね。
自由で、好き勝手やってる快斗が。
それにさ、快斗は本当にしつこかったから。
こんなに私に興味持ってくれた人、初めてなの。
友達はすぐに離れていったから。」
「え、涼介も?」
「………うん。」
涼介でさえ、私の家族と距離をおいた。
あのあとすぐ、涼介に彼女もできて…
ずっと両想いだと思っていた涼介が
ずっと一緒にいると思っていた涼介が
私ではない子を選んだことがすごくショックだった。
お兄ちゃんが死んで、いつも一緒だった涼介もいなくなって、私には誰もいなくなったんだ。


