━━━翌日


「桜子ちゃんおはよ!!」


「おはよう。」


高校へ入学して2週間
私は毎日大津快斗に挨拶されている。

こんなやつは嫌い。
嫌いだけど、挨拶を無視するほど非常識ではないから。


「あのさ、蓮のこと知ってるの?」


「…………蓮?」


「昨日蓮のこと見てたじゃん。」


「…………あぁ。
別に知らない。ただ…………」


「ただ?」


「…………あの人は、私の欲しかったものを持っていたから。
その…羨ましくて。」


「え、なになに?」


「関係ないでしょ。」


「もー!たまには教えてよ!」


あの人…名堂学園の制服だった。
あんなヤンキーみたいな人が…………


「まぁいいや。
ね、明日遠足だね!」


「…………それが?」


「明日動物園行くじゃん?
桜子ちゃんって動物好きでしょ。
入学式の日に猫助けてたし。」


「…………別に。
ただ見殺しにできなかっただけ。」


でも、あんな小さい猫
きっと助けたって、助からなかっただろうな。