俺らは手を繋いだまま、仲良くお喋りなんかしながら廊下を歩いて教室へと向かっていた。


「え…桜子?」


そんな俺らに驚いて前から歩いてくるのは桜子の幼馴染み。


「なに?涼介。」


「どうしたんだよ、その格好…」


「え、変?」


「いや、そうじゃなくて…」


「どうだ、涼介。すげーだろ。
俺のためなんだからな~」


戸惑う涼介に、俺ら誇らしげにそう言った。
涼介にはできなかったことを、俺はやってみせた。

…まぁ結局は桜子ちゃんの努力のお陰なんだけど。


「え、ってか付き合ってんの?」


「そ。俺の彼女。」


「へー、まじか。
まぁよかったじゃん。

頑張れよ。」


涼介は桜子ちゃんにそういって、5組へと入っていった。


「頑張れよって、なにをだよ…」


「たぶん、うちのお母さんにバレないようにって意味、かな…
うちのお母さんは情報もすごいから…」


……あー、そうか。
こんな不良と付き合ってちゃダメなのか。
…しかも暴走族だし。


「……でも、噂的には俺より蓮だよな。」


「確かに。」


まぁあれはうそだから否定するか。さすがに。