「えーっとね…そこに伸びてる3人が、
陽菜乃さんを妬んで危害を加えようとして
それを美桜さんが庇って魔法が暴発した
って流れだと思うよ?」

「凄い…大体あってる」
これが先生の能力“グッドイヤー”

「何を言っているんですか?
翠先生は担任ですからご存知のはず。
この人は魔法が使えない劣等生です。」

あぁ。王子様でも“劣等生”って呼ぶんだ。



「ノア=ヒュードル・フロウ」




ゾクッ




あまりにもドスの効いた低い声に背筋が凍りつく


周りの先生や、ノアも、顔は青ざめていた




この声の主は…?




今までの行動からは想像もしない低い声が
翠先生から聞こえた




「僕は今までで1度足りとも、美桜さんに
魔法の素質が無いと言ったことはない。
それに、美桜さんをこの学園へ勧誘したのは僕さ。
俺が見誤ったとでも?そんな無責任な事で
この学園に強制入学させたとでも言うのかな?」

笑った顔…


でも目が笑っていない!!!


「そ、そう言うわけでは…」ノアは立ちすくむ

「何も確信がないのに、君ほど高貴な身分の人が
人を見下した言い方をするなんてね。」

コツコツ…と翠先生はノアに近づいた

「言葉は時に鋭い暴力となる。よく覚えるように」

ぽんぽん

目が笑わない笑顔のまま、ノアの頭を優しく撫でた


「はい…すみません」

ノアは小さく呟いた




ぱんぱんッ

「はーい。とりあえずここを片付けましょう」

そう言って凍りついた場の空気を変えてくれたのは
「真麻さん!!」
「入学おめでとう!立花さん。
そして、魔法発動も。」

笑顔でそう返してくれた



真麻さんのおかげで先生方は動き始め、
伸びた3人を保健室へ、窓ガラスを魔法で修復
そして私達はクラスへと返された。