〜碧said〜

「新入生の皆さん。おはようございます。
入学式のが始まる前に自分のクラスと番号を…」


青い空、白い雲、とても綺麗に晴れた空
入学日和というものだろう。

でも、俺は全然気乗りしない

「あのー。お名前聞いても良いかな?」
「……」

俺の目の前には、見知らぬ女
誰だよコイツ

「おおーい。無視しないでくれます〜?」

バシバシ俺の肩を叩いてくる

「久我碧…」

「久我碧君かぁ〜。じゃあ碧って呼ぶね」

碧…

(碧…!遊びに行こう!
碧…!このソフトクリーム20センチ!)

頭の中に流れるアイツの声

「碧…!遊びに行こう!」

「っっ!」

「ん?どうしたの?碧」

やべ。一瞬コイツが美桜に…

「ねぇ。碧?碧ってば!!」
「碧って呼ぶな!!!!」

今まで碧って呼ぶのは家族と陽菜乃と美桜だけ
コイツは関係ないのに
なぜか大きな声で叫んでしまった

「ご、ごめん…」
「…。や、大声出して悪い」

チッ。高校受かったら告白してって夢描いて
心なしか余裕まで持ってたはずなのに

「結構な重症じゃねぇか……」

「へ?何か言った?」

「何でもねぇ」






入学式もクラスでの自己紹介やら何やらも
ほとんど頭に入らなかった


「久我っちー!部活どうする?」
「いい加減その呼び方やめろ。
お前には関係ないだろ。」
「名前呼びがダメならこっちは許してよ〜」


美桜と、陽菜乃はどこ行ったんだ?
噂では星龍桜学園に行ったってきいたが
あんな胡散臭い学園。何も伝えて来ないし。

「はぁ〜〜」
「うっわ。大きいため息ついちゃって」
「お前、いつまでついてくんの」
「付いてきてませーん。方向が同じなんです!」

コイツ、朝から絡んでくるけど何なんだよ

「あ!久我っちー!
あっちにソフトクリームあるよー!」
「あーそーだなー」
「え、棒読み?興味なさそー」
「あーそーだなー」
「もー!!待ってて!買ってくるから」
「あーそーだなー」


いつも通り家に帰ろうと思ってたのに
俺の足は美桜の家の前で止まっていた。

ご飯を作っている匂いがする。
美桜の母さんはいるんだな。

美桜は…いねぇんだよな?