家から出られないなんてなぁ。


私は自分の部屋から見える目の前の道を
そこを行き交う人達をただ眺めていた


あっ…お隣のお姉さんと犬のポチ…
お菓子をよくくれるお婆ちゃん…
いつも、挨拶してくれる警察の人は
自転車でパトロール中かな?

…あれは…碧?

私の家の前でじっと私の部屋を
見つめている人に気がついた

でも結界が張られているから
碧いから私の姿なんて見れないんだろうな


「碧…話したいよ…こんなにすぐそばにいるのに」

どうしよう。
姿を見ると泣きそうになってしまう


あぁ。やっぱり私…


離れ離れになって気づいてしまうなんて


「碧。好きだよ」



じわじわと目に涙がたまっていく

どうしよう。学校生活は始まったばかり
初日からこんなに寂しくて3年間
本当に無事やって行けるのかな


溢れ出しそうな涙を拭いて

久しぶりに見たその姿だけでも
目に焼き付けておこうと、碧の方を見た


あれ?いない


もう帰っちゃったか……


碧怒ってるだろうなぁ
急にいなくなったんだもん。




ガサガサ




窓の外から変な音がした


何だろう?



窓から身を乗り出して覗き込むと
塀を伝い、気を登って私の部屋の窓の高さまで
登ってきたのは…碧だった。