「……どうも、」



しかたなく、そっけなく挨拶をしてみる。


まさか、こんなところでも鉢合わせするなんて、今日はツいてないな……。



「なんか美月ちゃん暗いね。まだ具合悪いの?」


「……え?」


「今日、教室で倒れちゃったんでしょ?大丈夫?」


「……なんで、そのこと」


「美月ちゃんがイケメン転校生にお姫様抱っこで保健室に運ばれたって、3年の間でも噂になってたからね」



……違う学年にまで知れ渡っているなんて、最悪。



「それで、すごい心配だったんだ。まだ具合悪いなら、俺が家まで送ってってあげるよ?」


「……えっ?結構です」


「遠慮しなくていいよ。ここのスーパー使うってことは、家はこのへん?もしかして、俺らご近所さんだったりして♪」



ウソでしょ、ご近所だったら困るし!



「遠慮なんてしてません。ほんとに大丈夫ですから」


「でも、美月ちゃんみたいな美人が夜道にひとりで出歩くなんて危ないよ」



先輩に送ってもらうほうがよっぽど危険だと思うけど。


ほんとにしつこくて困っちゃう。


心の中でため息をつき、先輩をどう巻こうかと考えていたそのとき。



「先輩、その心配なら無用なんで」


「……っ!?」



大地っ……。