「暗くなる前に早く帰ろうぜ」


「……うん」



俺たちは、保健室をあとにし、駐輪場に向かう。



「……寒ぃな」



頬に当たる風が冷たくて、ズボンのポケットに手を突っ込み、マフラーに顔を埋める俺。



「ずっと北海道にいたんだから、寒さにはなれてるんじゃないの?」


「北海道に住んでたからって、寒さに強くなるわけじゃねーから」


「……ふーん」



返ってきたのは、そっけない返事。


美月はやっぱり俺には興味ゼロ?



「……なぁ、美月?」


「何?」


「美月が倒れるようにして爆睡するほど睡眠不足だったのって、俺のせい……?」



グラウンドに映る、ふたつの伸びた影を見ながら、さっきからずっと思っていたことを呟いた。