「美月が遅刻寸前なんて珍し~ぃ」 席につくなり、後ろの席の愛美の声が聞こえてきた。 「クスッ。寝癖もなおす暇もないくらい、慌ててきたんだ?」 「……っ!」 えっ?寝癖っ!? 私は反射的に自分のロングストレートの髪をさわる。 「ふふっ、冗談だよ。美月がこんなに動揺してるなんて、やっぱりなんかあったんだ~ぁ?」 ……!! やられた……。 いつもの私なら、こんな愛美のカマにひっかかることもないのに。 動揺するな、私。 こんなんじゃ、勘のいい愛美にすぐにバレる。 もっと気を引き締めなきゃ。