──トントン。



俺が昔のことを思い出していると、部屋のドアがたたかれた。



「入っていいよー」



俺がドアの向こうの美月に声をかけると、ドアはゆっくりと開いて。



「そろそろお昼ご飯作るけど、何がいい?」



美月は花柄のエプロンを身に着けていた。


うおっ!


エプロン姿とか、超反則だろっ。


新妻って感じ!


やべー、新婚さんてこんな気分になんのかな。



「大地、何見てたの?」



脳内妄想が止まらない俺に気づくはずもない美月は、俺の手元のアルバムに視線を落としながら聞いてきた。



「あー、これ?美月と一緒に見ようともってきた、昔のアルバム。あの頃の美月は、俺のヒーローだったなぁ~!って懐かしんでたとこ」


「は?私がヒーロー?」



すると、美月は眉間に皺を寄せながら首を傾げた。