同居が決まった5日後。



「大地。ほんとにすまないが、美月のこと、よろしく頼んだ」


「大地くん、美月をよろしくね」



美月の両親は、何度も俺に頭を下げると。



「じゃあ、美月。お父さんたちは行くからな。お父さんたちが留守にする3か月間、大地と仲良くするんだぞ」


「何かあったら、いつでも連絡ちょうだいね。それじゃ、美月。大地くん。いってきます」



美月の家から、アメリカへと出発した。


美月は何も言わないけど、その猫のような大きな瞳がうるんでいることに俺は気付いていた。


そりゃそうだよな。


3か月とはいえ、ずっと一緒に暮らしてきたおじさんとおばさんと離れて暮らさなきゃいけないのはさみしいよな。


その間、いきなり10年ぶりに再会した俺と暮らせだなんて、無茶ぶりもいいとこだし。


けど、これからこの家に美月と一緒に暮らせるんだと思ったら、不安より、圧倒的に楽しみの方が大きくて。



「美月、今日から3か月間ヨロシクな。楽しくやってこうぜ」


「……最初に言っておくけど、家事は分担だからね。洗濯、炊事は私がやるから、大地は掃除を担当して。それから、」



美月は無表情のまま淡々とそう告げると。



「私たちが3か月間一緒に住むことは、絶対に誰にも内緒だから」


「うん。わかった」


「言わないだけじゃなくて、バレない努力もしてね」


「はいはい」


「返事は一回」


「はい!」



俺が言い直すと、美月は満足そうに自分の部屋に戻って行ってしまった。