その晩、私は懐かしい夢を見ていた。 それは、10年前。 キンモクセイが香る、10月。 「少しだけ美月と公園で遊んできていい?」 大地の家の前には、引っ越しのトラックが止まっていて、朝からバタバタと忙しそうなおじさんとおばさん。 うちの両親もその手伝いをするために、私も大地の家に来ていた。 「いいけど、1時間だけね。ふたりとも、気を付けていくのよ」 「はーい!」 お母さんたちから許可をもらい、私たちは家からすぐ近くのいつもの公園に行くことにした。