「みんなが楽しそうにしてるの見てたら、あたしひとりいなくなったところで、誰も困らないし、気づかないんだろうなって思ったら、消えてみたくなったんだよね」



……消えてみたくなったって、何言ってるの?



「でも、ほんとに誰にも気付かれなかったら悲しいから、わざとタケルくんとふたりのときにいなくなった」


「……っ!ばっかじゃないの!?タケルくんがどれだけ心配したと思ってんの!?自分のせいだって責任感じてたんだよ?菜乃花だって、本気で心配してたし、私だってっ、」



言ってるそばから感情があふれて、涙がこみあげてくる。



「なんで、泣くの?あたしのことが大嫌いなくせに!あたしなんかいなくなればいいって心のなかでは思ってるくせに!!」



愛美も言いながら涙をこぼしていた。



「そうだよ、愛美なんて大嫌いだよ!私の大切な友達を奪って、私を陸上部の部長にさせたくないからって喫煙してるなんて嘘までついて!顧問の先生とデキてるなんて噂流したのも全部愛美なんでしょ!?愛美のせいで、私の中学校生活はメチャクチャだった!!」



こんなに感情的になって、誰かに自分の気持ちをぶつけたのは初めてだった。


だけど、一度感情を解放してしまったら、もう止まらなかった。



「高校にさえ進学すれば、大嫌いな愛美ともサヨナラできる。それまでの辛抱だって思って必死で受験勉強も頑張ったのに……!それなのに、愛美と高校まで同じだって知ったときの私がどれだけ絶望したかわかる!?」