「……美月が、泣いたって、それ本当なの?」



それを聞いた愛美ちゃんは、信じられないとでもいうような驚きの表情で美月のことを見ていた。



「ああ、ほんとだよ。ふだん、人前では絶対弱みを見せたがらない美月が、愛美ちゃんを思って泣いてた」


「大地、もういいよ、その話はやめて……」



俺の話を制止しようと、横にいた美月は俺のシャツの袖をギュッとつかんでくる。



「よくねーよ。これ以上、もう我慢できねぇ」



俺は拳を握る手に力が入る。



「愛美ちゃんは美月に何がしたいんだよ?美月を困らせるのが目的?」



それを口にした途端、愛美ちゃんの表情が強張っていくのが見てとれた。



「どんな理由であれ、美月を傷つけるヤツは、男だろうと女だろうと、俺が絶対に許さないから。それだけは覚えといて」



俺は、愛美ちゃんの目をまっすぐに見てそういった。