そんな私のヒーローに、汚いツバを吐いたあの男。


いくら、大地の整った顔が羨ましいからって、あんなことするなんて絶対に許さないんだからっ。



「あ!大地たち帰ってきたぞ!」



前の方から聞こえた声に顔をあげると。



「今からちょうど店ん中に入れるとこだったんだ、ふたりとも早く来いよ!」



長い列の最前列にいた、タケルくんがそう言っていた。




「きゃ~!ふたりが手繋いでるんだけどっ……」



目ざとい愛美が、私たちの繋がれた手にいち早く気付き悲鳴をあげる。



「え?手?わっ!マジだ!何?この短時間の間にふたりに何があったわけ!?」



タケルくんも反応して、私と大地のことを目を丸くして見つめてくる。



「その話は、お好み焼きを食いながらゆっくり聞かせてもらおうぜ。店員に案内されたから行くぞ」



そう言うと、要くんが先陣をきってお店の中へと入っていく。



「おー、そうだな。じっくり聞かせてもらうから覚悟しとけよ?」



なんて、タケルくんがニヤニヤ笑いながら大地に言った。