「今の学校で、美月が自分から周りと関わりを持とうとしないのも、愛美ちゃんのことが関係してる?」
いつも教室でひとり、音楽を聞きながら小説を読んで過ごす美月のことが気になってたんだ。
「……私の大切なものを愛美から奪われるくらいなら、最初から作らないほうがいいから」
中学では、仲がよかった友達を愛美ちゃんに奪われたって言ってたもんな……。
「現に、愛美は、菜乃花や大地にも近づいて、私から遠ざけようとしてる……」
今朝、菜乃花ちゃんと話してる美月を真顔で見つめていた愛美ちゃんの顔が浮かんできた。
愛美ちゃんが俺に近づいてきたのも、そういう理由だったのか。
「そうだとしても、俺がそんなことさせない」
「……え?」
驚きながら、俺の顔を見上げる美月と目が合った。
「俺だけは、何があっても美月の傍にいる」
美月のこと、ひとりにさせないから。
絶対に──。



