俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~



「歩きながら、話そ」



美月にそう言われ、俺たちはふたりで駐輪場に向かって歩いていく。


愛美ちゃんもチャリ通だけど、もうそこには愛美ちゃんの姿はなかった。


俺が美月の自転車をおしながら、駅までの道をふたり並んで歩いていく。


美月は伏し目がちのまま、ゆっくりとさっきの続きを話始めた。


途中、泣くのを懸命に我慢しようと言葉に詰まる美月。


それでも、美月は俺に話してくれたんだ。


愛美ちゃんとの出来事すべてを──。


話を聞き終えたとき、あまりにも衝撃すぎて、いろんな感情が混ざりあい、やり場のない怒りがとめどなくこみ上げてくる。


ふたりの間には何かあると思っていたけど、美月から聞かされた内容は、俺の想像をはるかに上回っているものだった。


愛美ちゃんが女の子じゃなかったら、確実にぶん殴ってる。



「……美月はひとりで頑張ってたんだな」



過ぎてしまったことはどうすることもできないってわかってても、それでも俺は、そのとき美月の傍にいてやりたかった。


俺だけは、美月の味方でいてやりたかった。


美月が着せられた濡れ衣も、俺が晴らしてやりたかった。


美月を守ってやりたかったのに……。


それができなかった悔しさと、やるせなさとで、自転車のハンドルを握る手に力が入る。