「美月、駅前のファミレスでいい?」
「……うん」
「よし、じゃ行こうぜ」
俺たちも教室を出て、下駄箱に差し掛かるところで、女子の言い争う声が聞こえてきた。
「だから、いくら謝ってもらったって、愛美がしたことは、そんな簡単に許せることじゃないから」
俺は美月と顔を見合わせ、下駄箱の隅に隠れてその場に立ち止まる。
この声って、シオンちゃんだよな?
「わかってる。自分でもなんてことしちゃったんだろうってすごく後悔してるし反省してる」
愛美ちゃんが泣きながら話してる声も聞こえてきた。
「愛美に裏切られたあたしの気持ちがわかる!?もう愛美のことは信用できないし、今までみたいにやってくのはどう考えても無理だから」
「……シオン、本当にごめんなさい」
「……話したいことはそれだけ?それならあたし、もう帰るから」
そこで、会話は途切れた。
チラッと様子をみると、愛美ちゃんがトボトボと駐輪場にに向かって歩いていく後ろ姿が見えた。
それを確認してから、俺らも下駄箱でローファーにはきかえる。
「愛美ちゃん、完全にシオンちゃんとの仲こじらせちゃったな」
「そんなの当たり前の結果でしょ。自業自得だよ」
美月は無表情のままそう言った。
「中学のとき、私も愛美から似たようなことされたの……」
「……っ」
……似たようなことって?
美月の切ない表情を見た瞬間、嫌な胸騒ぎがした。



