学校に着き、教室に入ると、テスト直前なだけあって、いつものような賑わいはなく、自席で各自の勉強に取り組んでる感じだった。
だけど、俺らが後ろのドアから教室に入ると。
後ろのほうに座ってた女子が、こっちをチラチラ見ながら噂してる。
「あのふたり、さっき学校の近くで抱き合ってたんでしょ?」
「土屋さん、見かけによらず肉食系だよね~!」
「でも土屋さんて、中学では男好きで有名だったみたいだよ?」
「えー!そうなの!?」
「愛美情報だから、ほんとかどうかアヤシイけどね」
「な~んだ、愛美が言うことならガセでしょ。友達を平気で陥れようとする子の言うことなんて、誰も信用しないっつーの」
「ね~、ほんと昨日のアレにはびっくりだよね。シオンが可哀想。愛美の人格疑っちゃうよ」
俺の耳がピクリと動く。
美月が、中学では男好きで有名だったって、なんのことだよ?
愛美ちゃんが言ってたことだって話してたけど。
その話も、今朝の美月の涙と、関係してる……?