「美月、どした?」 俺が声をかけると。 「私、自販機行ってくる」 無表情のままそれだけを告げると、美月はひとり教室から出ていってしまった。 「美月ちゃん、なんかあったのかな」 タケルも、みんなも、キョトンとあっけにとられていた。 「だからって、何もこのタイミングで席をたたなくてもいいのになぁ?」 そういって、タケルは愛美ちゃんに同情の声を寄せる。 けど、俺は、美月はこのタイミングだからこそ席を立ったような気がしてならない。 たぶんだけど、美月と愛美ちゃんには、“何か”ある……。