「ねぇ、それより修学旅行の班行動のときはどこに行く?みんなで行きたいところ出し合おうよぉ」



俺たちの会話に入って、話題を変えるのは愛美ちゃんだ。


たしか、2日目だけがUSJで丸一日自由行動で、初日と最終日が班行動なんだよな。



「はいはいっ!俺、お好み焼きとたこ焼き食べたいっ!」



その話になった途端、テンションをあげてきたタケルが手をあげながら答える。



「ククッ。タケルのそれって、行きたいところじゃなくて、食べたいものだろ?」



秀才の要が、おかしそうに笑いながら突っ込む。



「べつにいいじゃんかー!なぁ?あいみん」



プゥっと頬をふくらませて、愛美ちゃんに助けを求めようとするタケル。



「ふふっ、うんうん。あたしも大阪に行ったらそのふたつは絶対に抑えておきたいと思ってたぁ♪じゃあ、一日目のお昼はお好み焼きとたこ焼き食べることにしようよぉ♪」


「よっしゃ!さっすが、あいみん♪」



タケルと愛美ちゃんがワイワイ騒いでる声が教室に響き渡る。


すると、そのとき。


それまで楽しそうに笑っていた愛美ちゃんが、急に俺の腕にピトッとくっついてきた。


え?何?



「どうかした?」


「大地くん、助けて……。シオンたちがあたしのことにらんでるっ」



俺の腕にしがみつく愛美ちゃんは、おびえたような表情をしていた。