自分から私をひとりにさせておいて、愛美はみんなのいる前でだけは上っ面だけの会話を私にふってくるから、それを見ている周りからは、私にとって愛美は唯一の友達のように映っているのだろう。
「俺、土屋がそんなヤツだと思ってなかったからショックだわ~」
「土屋は内野に可愛がってもらってたじゃん?内野に誘われたんじゃねーの?」
“内野”っていうのは、陸上部の3年生の女の先輩のことだ。
内野先輩は、髪を茶色に染めていて、一見、不良に見えるけれど、実はそんなことは全然なくて、単にオシャレが好きな美人な先輩だった。
だけど、不良扱いされていた内野先輩は、周りからはよく思われていなくて。
顔を出しにくかったのか、次第に部活もサボるようになって。
この日も内野先輩の姿はなかった。
私が内野先輩になにかと気にかけてもらっていたのは事実だけど、内野先輩に喫煙をすすめられたことなんてないし、そもそも、内野先輩が喫煙をしているところすら一度も見たことがない。
茶髪というだけで不良だと決めつけ、不良だからと喫煙してると勝手に決めつけているのは部員たちのほうだ。
私が否定しても、愛美の演技に騙され、私が喫煙してると言う愛美の言葉を信じ込むのも……。



