「なぁ、要」
「ん?なんだよ?」
「美月って、誰か仲いいヤツとかいんのかな」
「え?美月ちゃん?」
そんなことを聞かれると思っていなかった要は、目を丸くしていた。
「……ん~」
要はしばらく考え込んだあと。
「そう言われれば、美月ちゃんが女の子とつるんでるとこって、見たことがないかも」
「……やっぱ、そうか」
教室での美月は、いつもひとりで音楽を聞きながら小説を読んでいることがほとんどで、周りとの関わりを自ら拒んでいるように見えてならなかったんだ。
けど、なんで?
美月は、昔から自分から話しかけるタイプではなかったけど、それなりに美月の周りには友達が集まっていたのに。
「あ、でも、愛美ちゃんとはたまに話してるの見るよ」
要は思い出したかのようにつぶやいた。
愛美ちゃんて、美月とは中学からずっと一緒だって言ってたもんな。