頭を混乱させながらリビングへ行くと、コーヒーのいい香りが立ち込めていた。



「美月、おはよ。さっきは起こしてくれてサンキュな」


「……おはよ。お弁当ももうできてるから」



キッチンカウンターの端に置かれた、ピンクとブルーの弁当入れ。


いつも俺より早起きして、美味しい弁当まで作ってくれる美月の優しさにはほんとに感謝してる。


しかも、なんだかんだいって、美月は俺の好物をしっかりと覚えてくれてたしな。


俺のことなんか忘れてたとか言われてたくらいだったから、それを知ったときはすげー嬉しくてヤバかった。


美月ってほんとツンデレだよな。


けど、そこがまた美月の可愛いとこで。


俺はそんな美月が好きだったりするんだけどさ。



「いつもありがとな」


「……料理は私の担当だから」



ほら、やっぱり素直じゃない。


けど、そうやって目を合わせようとしないのは、美月もほんの少しくらいは昨日のことを意識してくれてる証拠だと思っていーわけ?